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倒産
2016/04/01

ゆでガエル型倒産!(出版取次中堅‐太洋社破産の理由)

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3月15日に出版取次中堅の㈱太洋社(千代田区外神田6-14-3、設立昭和28年8月、資本金1億8000万円、國弘晴睦社長)が東京地裁に破産を申請し、破産開始の決定を受けました。

2月5日には、自主廃業をする事を公表していたのですが、大口取引先の(株)芳林堂書店(豊島区西池袋3-23-10、設立昭和23年3月20日、資本金2000万円、齋藤聡一社長)が2月26日に東京地裁に破産申請した事により、債権の回収が出来なくなったために破産申請へと至りました。

太洋社の売上のピークは、2005年6月期の486億6700万円になります。

直近期の売上が171億2000万円となっており、10年で約3分の1にまで減少しています。

表(太洋社).jpg

・売上が年々減少している(2015年6月は前期比30%減)

・利益が出ていない(3年連続経常利益マイナス)

・有形固定資産の減少

かなり切迫した状況であった事が想像される数字となっています。

報道によりますと、本社不動産の売却等のリストラを行っていたようですので、資産を売却しながら、なんとか延命をしていたが、それも限界に達したという事のようです。

 

出版業界の現状確認のために、全国の書店数出版物の販売金額をグラフにしました。すでにご存知の情報とは思いますが、書店数も販売金額も減少が続いております。

グラフ(出版).jpg

ただ、10年前と比較して、どちらも3分の1になってはいません。業界全体と太洋社を比較した場合、後者が、急激に状況が悪化している事が分かります。

一部報道によりますと、太洋社が抱えていた優良書店が、大手の出版取次の攻勢によりどんどん取られていたとの事です。

優良な書店をもたない取次には、出版社からの取引条件も悪くなっていく事が考えられ、その事でまた書店が離れていくという負の連鎖に陥っていたのではないでしょうか。太洋社に残された取引先は、力のない書店となってしまいました。

太洋社の倒産に連鎖して、倒産・休廃業した書店は18社になりますが、その多くが地方の1店舗で営業を行っていた書店になります。(東京商工リサーチ調べ 2016/3/30時点)

そういった状況の中で、2月5日の自主廃業の公表につながったと思いますが、ここで、ひとつ疑問が出てきます。

自主廃業をするにあたって、取引先からの債権回収をした場合に、資金的に余裕のない書店から回収するのですから、回収不能の債権が出てくる事は想定できます。

今回の破産の理由は、大口先の書店(芳林堂書店)の破産によるものです。

・太洋社は、芳林堂書店からの回収が難しい事。

・芳林堂書店が、新たな取次先を見つける事が困難で、事業を継続する事が難しい事。

この上記2点について、太洋社が自主廃業を決めた時点で分からなかったとは思えません。本当に自主廃業が可能だと判断していたのでしょうか。疑問です。

業界全体が縮小していくなかで、思い切った対応をとる事が出来ずに、力のない会社同士が共倒れした形になっています。

状況が悪化しているにも関わらず、対応する事ができず、徐々に追い詰められてゆでガエルになってしまった、ゆでガエル型倒産の典型のような気がします。

 

※書店総店舗数:JPO(日本出版インフラセンター)

※出版物推定販売金額:出版科学研究所