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分析
2017/04/03

【連載】〔第12回〕 フローの支払い能力を測る「経常収支比率」

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前回は、企業の支払い能力を見極める「フロー」と「ストック」について解説しました。今回は、フローの支払い能力を測る「経常収支比率」について説明します。

 

【会社の資金の収支状況を掴むための「財務指標」】

ローの支払い能力は、どのように測るのがよいでしょうか。

前回の住宅ローンの例で言えば、給料を売上、生活費を販管費や経費、仕入れ費用などに当てはめることで、フローが計算できます。ここで注意したいのが、会社の場合、売掛、買掛の取引が多いことです。

売上=現金の収入ではありませんし、支払いも仕入れてから数カ月後に払うことが多いため、売上から費用を差し引くだけでは資金の収支状況はわかりません。

また、会社の売上は、サラリーマンの給料のように、安定しているわけではありません。そこで、会社の資金の収支状況を掴むためには、経常収支比率という財務指標を使います。経常収支比率とは1年間の企業の資金収支を評価するもので、経常収入を経常支出で割ったものに100を掛けたものです。計算式は次のようになります。

 

経常収支比率=経常収入÷経常支出×100%
*経常収支比率は、総合的な現金収支.資金繰りを見る指標。
経営活動による収入で、当期の運転資金をまかなえているかをチェックする。


経常収支比率は経常収入と経常支出を比較して収入が支出に比べて何割くらい多いのかを計算しています。経常収支比率は、経常収入を経常支出で割って、その値をパーセンテージで表したものなので、100%以上なら収支がプラスで、100%未満なら収支がマイナスということになります。



経常収支比率が200%であれば、収入が支出の2倍あったことになり、50%であれば、収入が支出の2分の1しかなかったことになります。収支がプラスであれば、収入のほうが多いのでフローがうまく回っていることを示し、マイナスであれば、支出のほうが多いので、フローに問題があることになります。

経常収支比率を計算するためには、その前に経常収入と経常支出を算出する必要があります。経常収入というのは、会社の1年間の経常活動による現金収入を計算したものです。経常活動というのは、その会社の事業の本業による現金収入です。

反対に、経常支出というのは、会社の1年間の経常活動による現金支出を計算したものです。本業による現金支出ということです。経常収入(1年間の経常活動からの現金収入)を算出し、経常支出(1年間の経常活動からの現金支出)と比較することで、1年間の企業の現金収支がわかります。

 

【「経常的な収支」がプラスかマイナスか?】

経常収入とは、売上高や営業外収益など、企業の経常活動による収入のすべてを表すものです。計算式は、次のようになります。


経常収入=売上高−受取手形増加高
        −売掛金増加高
        +前受金増加高+前受収益増加高+営業外収益

一方、経常支出とは、売上原価や販管費、支払利息など、経常的な支出のすべてを表しています。計算式は、次のようになります。

 

経常支出=売上原価−支払手形増加高−買掛金増加高
         −未払金.未払費用増加高
         +棚卸資産増加高+前渡金.前払費用増加高
         +販管費+営業外費用+その他流動資産増加高
         −減価償却費−貸倒引当金増加高


経常収入と経常支出には、借入金収入や借入金支払などは含まれません。ですから、経常収支比率は、あくまでも企業の経営活動による経常的な収支がプラスかマイナスかを判断するものになります。この経常収支比率という財務指標は銀行や信用金庫などでは非常によく使われている財務指標です。

私は、仕事がら多くの金融機関の審査部門の方とお話ししますが、多くの方が「本当に儲かっているかどうかは、経常収支比率を見ればわかる」とおっしゃいます。金融機関ではそれほどまでに浸透している財務指標です。

では、経常収支比率さえ見ていれば、倒産する企業が予測できるのかといえば、私にはそうとも思えないのです。その理由を次回示します。