先日、本屋に行ったら、「破綻(バイオ企業・林原の真実)」という本がありました。
林原といえば粉飾が発覚して倒産してしまった企業。執筆者は元取締役の林原靖氏。
「敗軍の将、兵を語る」ということなので、粉飾した側の真実を知りたいと思い読んでみました。

 

林原の粉飾は、架空売上げと簿外負債だったと記憶しておりますが、ではなぜ粉飾したのか?

<架空売上げ>

本には林原の経理財務の重要関心事として下記のように記載されています。

林原でも経理や財務の最大関心事は「銀行交渉」「節税対策」「事業継承」の三つだった。

売上を拡大しても「節税対策」「事業継承」に効果はないと思いますので、架空売上げの目的は「銀行交渉」しかないでしょう。
「損益計算書もずっと黒字で、年間のキャッシュフローも間違いなくたくさん出ていたのである」と書いてありますが、架空売り上げを計上しててずっと黒字と言うのもどうかと思いますが。。。
そうはいっても、架空売上げは一時的なものであったようです。

 

<会社が破綻に至る通常のケース>
また、著者が想定する企業が会社更生法申請に至る普通のケースを記載しております。

通常、かつて堅調に推移していた会社の業績が、時代のニーズに合わなくなったり、ライバルとの競合に負けたりして徐々に業績が悪化し、ついには赤字が累積して債務超過になる。その結果、銀行から見限られ、やまなく会社更生法の申請に至る

つまり、黒字で資産超過なんだから倒産するわけないじゃんという意識だったんですね。
著者は大きな認識違いをしています。
倒産企業の大半は黒字倒産です。赤字や債務超過の倒産は意外と少ない。
弊社の資料では倒産企業の約60%は黒字。
売上高当期利益率の分布
債務超過での倒産は倒産企業のうち20%です。

自己資本比率の分布

実際に複数の金融機関で「赤字で債務超過のほうがデフォルト率が低いんですよね。。。」と言うセリフを何度か聞いております。

 

<資産の過小計上>
林原は節税のために資産の時価評価をしていなかったようです。
なので、「数字を実態に近づければ、たちまち巨額の税金支払が発生してしまう」。
93%の弁済をしたことを考えれば、確かに多額の含み益があったようですね。

 

<簿外債務>

銀行からの借入金が一時期に急激に増えたという説明もつきにくく、苦し紛れに過小報告するという安易な処理が続いていた

説明しづらい借入れが急激に増えていたということですね。何に使ったのでしょうか?
最初に隠してしまうと、修正するのが大変なのは間違いないでしょう。

著者は何とかこの乖離を解消するべく努力をしていたようですが、

社内には、しょせんは財務諸表だけのこと。実態は堂々たるもので、数字とは全く違うんだからとする奢りがあった

とのこと。
これは完全にアウトですね。。。
っていうか、堂々たるものなら粉飾しないでしょ?と思っちゃいました。。。

 

結局のところ、林原は納税を避けるために資産を過小計上し、金融機関からの資金調達のために架空売上げや簿外債務をしていたということでしょうか。それをトレハロースの売上拡大で埋め続けてきた。
林原としては税金払うよりも、粉飾しながら金利を払い続けるほうがマシということだったのかなあ。。。
毎年30~40億円の金利を払い続けてきたというのは確かにすごい。
トレハ星人の力でしょうか。。。。

ADRや債権取立て等についても書かれており、興味深い本でした。

 
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