「決算書は成績表である」という記述をよく見かけます。
ですが、アロックスは、決算書は成績表ではないと考えます。
皆さんが学生時代に受取った成績表には、算数:4、国語:5等と学習の状態がわかりやすい記号で表示されていたはずですが、決算書には経営状態を表示する記号など記載されていません。
そもそも、上場企業が公開する決算書は有価証券報告書。
税務署に提出する決算書は税務申告書です。
成績表とは書いてありません。
多くの企業は、利害関係者に報告をするために、決算書を作成しています。
「自社の成績をつけよう」と考えて、決算書を作成している経営者などいるのでしょうか?
決算書は報告書であり、その報告内容を把握するためにあります。
だから、成績表ではないのです。
報告書は報告書として見るべきです。
では、決算書から企業の成績はつけられないのでしょうか?
もちろん、つけられます。
皆さんが、財務分析をしたり、業種平均と比べたり、格付けをつけたりすること、これが成績をつけるということです。
その企業についてどのような成績をつけるかは、その決算書(報告書)を受け取った、あなたが決めることです。
学校の入試のように、英語の配点を高くしたり、低くしてもよいのです。
つまり、決算書を入手したあなたが、何を重視して、どのような方針で成績をつけるかが大切です。
巷の決算書の読み方というものを見ていると、ほとんどが決算書の種類の説明と財務分析に使う財務指標の解説です。
財務分析は決算書の構造を把握するうえで、大切なツールですが、それだけでは決算書を読むことは出来ません。
何故なら、決算書にはたくさんの勘定科目や数値が記載されておりますが、財務指標はその一部分しか使わないからです。
例えば、自己資本比率は純資産/総資産(総資本)となりますが、使っているのは決算書の中のたった2科目だけです。
傾向を知り、成績をつけることは出来ると思いますが、これだけでは、報告書の内容を把握するのは難しいと考えます。
決算書を読むとは、数字の裏にあるストーリーを読み、企業を知ることです。
数字の動きや各勘定科目の意味合いを把握して、具体的にどういう行動がその結果を引き起こしているかを知ることです。
こう申し上げると、非常に難しいことのように思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
決算書の基本や会計の知識が多少あれば、十分です。
「決算書を読む」のために本当に必要なのは、数字から何が起きているのかを想像するイマジネーションです。