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粉飾
2014/11/27

今年の粉飾を把握する〔2014年〕- The キックバック –

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【不適切な会計処理】
今年も企業評価の“眼”を更新することを目的として、
『上場企業の不適切な会計処理』のリリースをまとめたレポートをお送りします。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2014.11.27
【Alox】 『第三の眼 ~看破する力~』 http://alox.jp/  vol.10
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◆ 目 次 ◆

【1】  今号の一言   『銀行の統合と融資先の選別』

【2】  本文       『今年の粉飾を把握する〔2014年〕- The キックバック -』

【3】  編集後記     『日本人の相対的評価思考』

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【1】  銀行の統合と融資先の選別
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横浜銀行と東日本銀行の経営統合に端を発した銀行の経営統合連鎖。
鹿児島銀行と肥後銀行も経営統合の検討に入った。

銀行の監督官庁である金融庁は、年初に地方銀行の頭取や幹部が出席する会合において、
「経営統合を経営課題として考えていただきたい」といった異例の要請を行っている。

他の銀行も追随する可能性は極めて高い。

資金調達する立場の事業会社にとっては、決して対岸の火事ではない。
経営統合によって、「どちらかの銀行の経営方針が色濃くなる」と考えるべきである。

救済型統合の場合、主従関係は明確である。

しかし、対等合併の場合、両行のパワーバランスは微妙だ。

それゆえ、経営統合へ向けて(もしくは経営統合を境に)、両行は自行の持つ資産を選別し、
自らの価値を高め、「相手よりも良い資産を持ちたい」と考えるのが自然だ。

銀行にとって資産と言えるのは、優良な融資先であり、
不良資産と言えるのは、返済が滞りがちな資金繰り窮している融資先である。

メインバンクが経営統合した取引先・調達先・投資先の動向には注意が必要だ。

それでは、本文をお楽しみください。

 

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【2】  今年の粉飾を把握する〔2014年〕- The キックバック –
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【不適切な会計処理】
今年も企業評価の“眼”を更新することを目的として、
『上場企業の不適切な会計処理』のリリースをまとめたレポートをお送りします。

 

【少なめの14件】
今年は14件の「不適切な会計のリリース」があった。
“倒産が抑制された時代”ということも影響しているが、
不適切な会計というよりも、「犯罪というべきリリース」や
「会計処理の誤謬というリリース」については、件数から除外した。
(除外しなければ18件)

ちなみに、2013年20件、2011年17件、2010年15件だった。

 

<不適切な会計処理 ~会社一覧及びリリース概要表~ >
〔リリース〕  〔市場〕    〔社名〕
2013年10月 東証1         コーナン商事
2013年10月 東証1         東芝
2013年11月 東証1         サニックス
2013年11月 ジャスダック      アイレックス
2013年12月 東証1         リソー教育
2014年02月 ジャスダック      東テク
2014年02月 マザーズ        日本アセットマーケティング
2014年02月 ジャスダック      JALCOホールディングス
2014年03月 ジャスダック      ウチダエスコ
2014年03月 セントレックス     太陽商会
2014年05月 東証1         ジャパンベストレスキューシステム
2014年05月 東証1         長野計器
2014年06月 ジャスダック      インスパイア―
2014年07月 東証1         タカラトミー
141124_2014dressing
http://alox.jp/wp-content/uploads/2014/11/141124_2014dressing.pdf
【不適切な会計処理の型】
粉飾をその手法等に基づき、
「売上加工」「循環取引」「過少計上」「混在」の4つに分類した。

 

<売上加工>
サニックス、リソー教育、日本アセットマーケティング、
JALCOホールディングス、太陽商会、ジャパンベストレスキューシステム

<循環取引>
タカラトミー

<過少計上>
東芝、アイレックス、ウチダエスコ

<混在>
コーナン商事、東テク、長野計器、インスパイア―

 

“循環取引”を含めると“売上加工系”というべき粉飾の件数が、
全体の半分となった。

アベノミクス効果から、「景気が上向き」という雰囲気の中で、
売上を増やさなければならないプレッシャーが、
経営者や営業担当者に安易な手段を選択させているのかもしれない。

 

【今年の粉飾実例】
今年も各社において、下記のようなテクニックを駆使して粉飾が行われた。

 

〔サニックス〕
粉飾実行者のAは、技術職が行う発注入力を行ったり、
売上計上処理に必要な顧客の記名押印がある「施工完了報告書」を偽造した。

また、本来施工先に直送あるいは所属倉庫に送付するはずの部材を
外部倉庫に送付していた。

 

〔ジャパンベストレスキューシステム〕
注文書もなく、また「検収書」にも基づかないで、何らの根拠もなく
売上を計上していた。

内部監査の実施前に、内部監査室への対策として
特定の時期の「検収書」及び「出来高明細書」の金額を一致させ、
他方でサンプル抽出された「作業報告書」とも整合するよう、
全く虚偽の内容の「全体案件管理表」を作成していた。

売上計画を達成させるため、実際の月次出来高とは
合致していないことを認識しながら、売上計画に近い
「出来高明細書」又は「検収書」を作成した上で、
発注者の各現場工事事務所の所長に対し、社内資料上必要なもので
発注者に迷惑はかけないので「検収書」等に捺印をして欲しい旨を
依頼して「検収書」等に所長等から捺印を受け、
当該「検収書」等に記載の金額のとおりに発注者から検収を
受けたものとして、「検収書」等に記載の金額を売上計上していた。

 

〔インスパイア―〕
内容の異なる総勘定元帳が存在した。

米国のD社がインスパイアーから23万USDを預かっていることを
証明する内容となっている書面には、D社の代表者等の署名押印は存在しない。
また、D社は米国法人であると記載されているが、書面の本文は
日本語で記載されている。

平成21年4月8日付でインスパイアー経営企画室のmm氏から
同社経理部のii 氏宛てに送られたメールには、以下の記載が存在する。
「いったいぜんたい、あの1.67億円はどこに消えたのでしょうか。
昨日どこかに持って行った45百万円で全部終わりですか。
結局、調達した資金はどこかに消えた、借入金は未返済のまま、
と言う状況で、どうして4/20 や4/30 に資金が正常化できると
言っているのかが分かりません。」

 

〔太陽商会〕
製品を販売したが、販売先の再販の営業が不調に終わったために、
販売先からの売掛金の回収ができなかった。
当時の監査法人からは、決済代金の確認ができなければ本件
取引に係る売上計上は認められない旨を言われていたため、
当時の当社代表取締役が、当該決済に必要な資金を自身で借り入れ、
これをもって当該販売先に対する売上債権の回収であるとして
決済を完了させた。

 

〔リソー教育〕
【学習塾特有の売上「ご祝儀」】

「ご祝儀」とは、生徒が未消化授業を残しながら志望校に
合格して退会した場合や、生徒が転居等によって未消化授業が
残った場合等に、教室の担当者が保護者から明示・黙示による
「授業実施と前受金の返還はいずれも不要」との了解を得て、
未消化授業相当の売上を計上するものである。

この「ご祝儀」があったように見せかけて未消化コマ数を減らし、
売上を増やす工作が行われた。

契約成立の見込みがないのに「映像講座」等の契約書を勝手に
作成するなどして売上を計上した(翌期に解約された形にする。)

 

〔東テク〕
利益が出そうな現場がある際に、当該現場の伝票を用いて
水増し仕入発注等をし、当該発注に基づいて外部協力者に代金を
請求させ、そこから得られるキックバックによる資金を
事後の支出に備える目的で留保したり、それまでに累積された
支払い分に充てるという方法がとられた例もあった。

営業担当者等が接待等で比較的高額の飲食費等を
下請業者に負担してもらい、その後、当該飲食費等に
相当する金銭に一定の金額(外注業者の取り分)を加えた額
での水増し仕入発注等を行う例もあった。

キックバックにより営業担当者等へ支払われる金銭は、
手渡しと銀行振り込みが主である。
これらを意図的に使い分けている者は見られず、
外部協力者と会う機会があれば手渡し、
会う機会がなければ振込ということであった。

大阪支店の一部のグループの中では、
相互に役割を分担した上で、水増し仕入発注等を行っていたが、
この際に、部下から依頼を受けた上司がキックバックを依頼し、
それに伴う金銭の受領も同上司が行っていたという例も確認された。

 

〔タカラトミー〕
循環取引を行う会社との間に、G 社、H 社、I 社、J 社、K 社、L 社、M 社、
N 社、B 社、O 社、P 社、Q 社、R 社、S社など「受皿会社」を設けた。
また、売上代金の源泉となる前渡金支払会社も、H 社、T 社、U 社、V 社と
いった会社を設けていた。

 

【ベストオブ不適切な会計に関する調査報告書】
独断と偏見に基づく、今年の一読に値する報告書は、東テクである。

100名以上の社員が何ら罪の意識なく水増し発注を行い、
日常会話として水増し仕入発注というフレーズが使われ、
上司から部下に水増し発注の方法が指南され、
支出が見込まれる行事(忘年会、新年会、打ち上げ)の前には
利益が見込まれる現場の伝票を用いて水増し発注し資金を留保する
といった“業務フロー”が根付いていた。

その証左として、毎年1億円以上の水増し発注(原価の過大計上)が
6年以上も続いていたことが挙げられる。
豊富な水増し発注によるキックバックの事例が記載され、
「The キックバック」と言える一品だった。

次点は、リソー教育の報告書を挙げたい。

 

<東テク_調査報告書(2014年2月17日)>
http://alox.jp/wp-content/uploads/2014/11/140217_9960_touteku.pdf
<リソー教育_調査報告書(2013年12月16日)>
http://alox.jp/wp-content/uploads/2014/11/131216_4714_risokyouiku.pdf

その他、番外として、粉飾ではないが、審査という点は
極めて重要な“反社会的勢力”との関わりを考えさせる
タマホームの報告も挙げておく。

<タマホーム_調査報告書(2013年11月15日)>
http://alox.jp/wp-content/uploads/2014/11/131115_1419_tamahome.pdf
◆取引先の“突然死”から自社の損失を補う保険◆
倒産が少ない時代であるのは間違いない。
与信管理の手を緩める会社もあるようだ。
そのような会社は、取引先の“突然死”によって、
危機に直面するリスクに晒されている。
リスクを管理している会社は、取引信用保険を利用しています。
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【3】  日本人の相対的評価思考
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幼少期からの教育や日本の慣習・風土によって、
日本人には“相対評価思考”が組み込まれていると思います。

例えば、下記は、周りの目を気にした“相対評価思考”のフレーズです。

・みんながやっている。
・あれと比べればマシ。
・A社とB社を比べればAの方が良い。
・そんなことをやったら波が立つ。
・昔からそうだった。

しかし、時には“絶対評価思考”で物事に対処すべきだと思います。

他人がどう思うとか関係なく、「私はこう思う!」という頑固な拘りが
あるべきだと思います。

歴史を紐解くまでもなく、全人類が相対評価思考の人間だったら進化はなく、
新しい製品やイノベーションも生まれない。

ガリレオ、ファーブル、坂本竜馬、織田信長、
黒田官兵衛(大河ドラマ、見ています・・・)、スティーブ・ジョブズなど。

絶対評価思考は、批判を浴びるため、実行には勇気が必要です。

世間一般、今までの体制、既存の権益や仕組みの上で“浮いている”ことは、
思考することが不要であり、本当に楽です。
例えると、何も考えずに、何となく、テレビを見ているようなものです。

しかし、その仕組みが一旦壊れてしまうと、何も考えずに浮いていた人は、
次の“浮輪”を探さなければならない。

ちょっと話は、ズレているかもしれませんが、
小渕優子(経済産業元大臣)氏は、父の時代に築かれた地盤という神輿に
担がれている相対評価思考の議員と感じています。

だって、自分の政治団体の収支が、全く分からないですから。

不祥事が発覚するまで、初の女性首相候補と言われていましたが、
何を評価して、そのように言われているの全く理解できませんでした。

まさか、父である故小渕敬三首相の娘であること、
それが評価されて初の女性首相候補と言われていたのだとしたら、
“日本人らしい想定的評価思考の極致”に思えます。

 


今回のメルマガは苦労しました。
粉飾の報告書って、本当に分かり辛くて苦労します。
ただ、2010年から始めた「粉飾を把握するシリーズ」も4年目です。
こんなことをやっている人はいないようなので、
ある意味では“絶対的評価思考”の実践です(笑)。
(塙)

 

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【発行・編集】“倒産・粉飾ウォッチャー”  塙 大輔
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