決算書の入力は、形式がバラバラ(紙、PDF、画像)の計算書類(決算書、財務諸表、税務申告書、内訳書、青色申告書など)をワンフォーマットのレイアウトに集約して入力を行う業務である。
「決算書入力」の目的
様々な会計ソフトで作成された決算書を「定型の決算書入力フォーム」へ勘定科目を集約して入力を行い、自社の評価基準で融資先、販売先、調達先、投資先を財務分析するために行うものである。
どこから決算書を入手する?
決算書の入手経路は、下記の3つである。
- 取引先から提供してもらう。
- 信用調査会社を経由して入手する。
- 官報、EDINET、ホームページから入手する。
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通常は取引先から決算書を入手するが、商社は信用調査会社から調査レポートを購入するケースが多い。
決算書を入力しない!?
金融系の企業では、決算書の入力は日常業務である。
融資の条件として、決算書を入手して、それを入力し、評価する。
一方、一般事業会社では、決算書の入力を必須とする企業もあれば、全く入力しない企業もある。
決算書を入力しない理由は、下記の4つである。
- 決算書を入手できない。
- 金額が小さく、支払サイトも短いため、決算書の入力を省いている。
- 決算書を入手しても、ファイリングしているだけで、取引先評価に利用していない。
- 決算書の分析以外の評価基準(信用調査会社の評点、社長個人の信用)で取引先を評価している。
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毎年一定の金額の取引がある企業に対しては、決算書の提供を求めなければならない。
その際、「自社の決算書と交換」という条件を追加すると入手できることがある。
また、自社の製品やソリューションの一部となっている調達先や委託先については、決算書を入手し、「安定した財務基盤を保有する調達先・委託先」なのか定期的に評価しなければならない。
入手する決算書の形態は?
決算書の形態は、紙、PDF、データに大別される。
- 決算書をコピーした紙
- FAX経由の決算書をコピーした紙
- 決算書をコピーしたPDF
- 決算書をコピーしたPDF以外の画像形式
- 決算書をデータ化したCSVやXML
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現状では、紙が多い。 しかし、紙は保存場所の確保であり、劣化もする。 昨今、ペーパレスが推進され、PDFの決算書が飛躍的に増えている。
誰が決算書を入力する?
- 決算書入力の専任担当者
- 審査担当者
- 営業担当者
- 営業事務員
- 派遣社員
- 決算書入力代行会社
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金融系の企業(特に銀行)では、決算書入力の専任者がいることが多い。
一方、一般事業会社では、営業もしくは営業事務員が決算書を入力し、その結果として作成された財務分析を審査担当者が評価している。
どうやって決算書を入力する?
- 紙やPDFの決算書を手入力する
- PDFや画像の決算書をOCR処理して入力する
- CSVやXML形式で入手(もしくは購入)した決算書データを定型の決算書フォームへインポートする
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金融系の企業では、決算書をOCR処理している。
一方、一般事業会社では、1期あたり10分から30分程度の時間をかけて、手入力をしていることが多い。
上場会社については、EDINETで公開されたデータを加工するもしくは、加工したデータを購入し、決算書入力フォームへインポート処理するのが一般的である。
決算書入力の課題
1.決算書の入力に時間を要する。
2.決算書の入力内容(勘定科目の集約)が担当者によってバラツキがある。
3.決算書の入力に習熟するまでに時間を要する。
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審査担当者から、「決算書を入力する過程を経ると取引先の経営状況をリアルに感じることができ、審査の役に立つ。」という話を聞くことがある。
確かにその通りである。
しかし、全ての取引先(数百から数万まで)を手入力していたら日が暮れる。
それゆえ、決算書入力業務の効率化は必須である。
決算書の入力を短くし、「作成された決算書を見て分析する」ことに重きを置かなければならない。
課題解決
手入力- 決算書の入力担当者のレベルを向上させる。
- 決算書の入力担当者を絞る
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一時的な解決にはなるが、担当者に依存する。
担当が変更される度に、決算書入力データの質の問題が再発する。
システム
決算書をOCR処理するシステムで入力の効率化とデータのバラツキを無くす。
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決算書入力業務の効率化と入力データの均一化が図れる。 つまり、誰が入力しても同じデータが作成される。
アウトソース
自社ではなく、決算書の入力代行の会社へアウトソースする。
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決算書の入力を外部へ委託すれば、データの質や効率性の問題は解決できる。